神泉苑は聖観音像を本堂に安置する真言宗の寺院ですが、正面に立派な鳥居を構え、苑内にも社殿や鳥居が多く神社の雰囲気です。
放生池をまたぎ、苑地西側の聖観音像を祀る本堂と、苑地中央に鎮座する善女龍王社をつなぐ朱塗りの丸橋「法成橋(ほうじょうばし)」は、本堂側から一つの願いを念じながら渡り、善女龍王社に詣でると念じた願いが必ず叶えられるとされています。
写真下右の歳徳神(としとくじん)を祀る恵方(えほう)社は、その年の恵方の方角に住職の手によって社殿の向きが変えられる日本唯一のものだそうです。
神泉苑は延暦13年(794)桓武天皇が平安京造営の際に、天皇の遊宴を目的として造られた庭園で、大内裏(だいだいり)の南にあった沼沢を開いて設けられた苑地にはいつも清泉が湧き出していたことから神泉苑と名づけられました。当時が現存しているものとしては唯一のもので貴重な遺産です。ここで歴代の天皇や貴族が舟遊、観花、弓射、相撲や詩歌管弦の宴が催されました。
放生池の南畔で冬に薄紅や赤色の花を咲かせる「さざんか」も神泉苑の名物となっています。天長元年の日旱(ひでり)の際にこの池畔で東寺の僧空海が善女龍王を祀って雨乞のお祈りをしたところ霊験があり、それ以後名僧が競ってここで祈雨の修法を行ったそうです。毎年5月の初めには京都市登録無形民俗文化財に指定されている神泉苑狂言が行われます。
神泉苑の所在地
京都市中京区御池通神泉苑町通東入る門前166
神泉苑の拝観 境内拝観自由
神泉苑への公共交通機関
JR嵯峨野線「二条」、地下鉄「二条城前」下車、
徒歩約5〜10分
御池通を走る市バス、京都バス「神泉苑前」下車すぐ