京都の市街地から見える二つの高い山は東の比叡山(標高848.3m)と西の愛宕山(標高924m)です。比叡山が仏教の山として栄えたのに対し、愛宕山は火伏せの神、愛宕神社の山として古来より都人の信仰を集めています。嵐山から愛宕山の頂上近くまで、電車とケーブルカーが通じていた時代もありました。江戸の中頃から愛宕詣でが盛んとなり、農家や林業を主体としていた集落が愛宕神社の門前町の形が加わり、江戸末期から明治の初めにかけて愛宕街道沿いに茶店などが建ち並ぶようになりました。
鳥居本に立つ赤い鳥居は愛宕神社の一の鳥居です。鳥居の近くが三叉路となっていて、右を行くと愛宕念仏寺、試み峠(こころみとうげ)を越えて清滝から愛宕山、左を行くと下六丁峠、落合、保津峡、柚の里水尾へと続きます。紅葉の名所となっている鳥居本には400年の歴史を誇る茅葺き屋根の鮎料理店が店先の床几に赤い絨毯を敷いて提灯を下げ、昔のままの風情を今も見せています。嵯峨野の散策から少し足を伸ばして、化野念仏寺、鳥居本、愛宕念仏寺を訪れる人が多いようです。もう少し歩けば渓流と赤い渡猿橋と紅葉が美しい清滝へも歩けます。清滝へはバスの便もあります。奥嵯峨と呼ばれているこの辺りは国の重要伝統的建造物群保存地区および京都市の伝統的建造物群保存地区に指定されています。
嵯峨鳥居本の場所/京都市右京区嵯峨鳥居本町
嵯峨鳥居本への公共交通機関/京都駅前から京都バス72系統で「鳥居本」下車
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